時には、ほんの小さな出来事が、何が本当に大切なのかをふっと思い出させてくれることがあります。
アメリカの詩人で、長年京都に暮らすポール・ブレイディさんは、著書『ザ・ビッグ・エルスウェア』の中でこう書いています。
「私たちは、生まれ持った宝物を探し続けるために、一生を費やす。」
九年前のこと。
パパジョンズのキッチンに、小学校の子どもたちが見学に来ました。人数はベイカーズ・ダズン――十三人。まるで十三個の宝石のような、子ども時代の輝きです。
最初に二階の事務所へ入り、自己紹介を始めた彼らは、みんな慎重で礼儀正しく、見えない「良い子の制服」をきちんと着込んでいました。けれど、少しの沈黙と短いやりとり、そして二拍、三拍の間のあと、その「制服」はするりと脱げていきます。
幕が上がり、部屋いっぱいに色が広がりました。
恥ずかしがり屋、道化役、真面目な子、おどけた子、物静かな子――それぞれが、突然、そして間違いなく、自分らしさを解き放ったのです。
彼らはまだ、その「宝物」をちゃんと持っていました。
隠していたかもしれない。
否定していたかもしれない。
でも、決して失ってはいない。
子どもの奔放さは、長く鎖につながれていることを決して許しません。
だからこそ、私はそんな瞬間に感謝します。
まっすぐ「今」に引き戻され、まだ輝き続ける宝物を垣間見ることができる――そんな貴重な時間に。
脚注:
Baker’s Dozen(ベイカーズ・ダズン)とは、13個を意味する英語の表現です。
昔の欧米のパン屋が、1ダース(12個)を売るときに「おまけ」として1個余分に加えた習慣から生まれました。

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